お客様の声
Customer Voice
高砂製菓株式会社
折原 昌司社長
Q:おせんべいやおかきの製造販売されている。柴田さんからは「管理会計の導入支援」ときいていますが、そもそも柴田さんにお話しされたときに、何か課題があったんでしょうか?
A:お願いするきっかけは、もともとは山口教授がやっていたスモールサンという中小の経営者の集まりにぼくが参加したことです。そこで柴田さんが経営計画書の作り方を教えていらして、今度うちへ教えにきてね、という話になった。
決算書ではわからない未来のことを考えるための数字の見方っていうのを柴田さんがやってらして、未来会計とおっしゃってた。自分は数字に弱い経営者なので、なんとなく体感ではつかんでいても数字ではっきりつかんでないと不安になるので、それをやってみたいと思ってお願いしました。
Q:財務会計とは違って、管理会計とは…
A:財務会計は税理士が専門だけど、税理士は税金の申告のためのアドバイスが中心。会社によって違いますが、中小の経営者はどういう数字を管理するかという数字的なアドバイスを欲しいと思ってる。
Q:なるほど。そういうのとは違って…
A:何を管理したらいいか、ですね。メーカーだと、まず原価がわからないとだめ。そして会計的には何が何個売れるとどれぐらいの粗利があるか、を知る必要がある。
メーカーって原料、電気やガス、設備、様々なものを使うので、原価計算が非常に複雑ですが、それを簡単に考えることを教わりました。
Q:最初に管理会計導入されたときは、どういった不安があったんでしょうか?キャッシュフローとか?
A:大体これぐらいの商売してると、どれぐらい儲かってるのか、どの商品が儲かってるのか、安いものをジャンジャン作っていいのか、など迷うところがあります。そこを明らかにしないとこの道が正しいのかどうかわからなくなる。そこでスモールサンの山口先生がおっしゃっていた管理会計がいいと思いました。
管理会計は方式があるわけじゃなく、何を管理するか、どういう数字を見るかはその会社によります。そうなると管理会計の指導者って、いるようでいない。経営者が気づかないとだめ、という。そういった不安を解消するためのアドバイスを柴田さんからもらいました。
Q:将来の目標を見据えて、どういうところに注力したらいいのかを明らかにしたい、ということですか?
A:指針作りって「どういうふうにいい会社にしていくか」みたいになるけど、ぼくは観念じゃなくビジネスとして成り立ってるのかどうかを知りたかった。そうでないとこれでいいのか、と不安でした。
社員を大切にするにも社員を雇うにも利益がでないとできないですよね。同友会にいると「新卒採用がいい」いうことも聞きますが利益がなければ雇えません。実際にそれで成功した先輩方もいますが、そういったところは会社に利益をもたらす「基本球」というのが実はある、と後に気づきました。その時はまだ見えませんでしたが。
この大変ななかでも同友会の〇〇経営をやってみたいと思いましたが、何か本末転倒してるような、もっと大切なことを逃しているような気がしていました。それは僕がどこを押せばどこが出るみたいな数字のことがわからなかったから。柴田さんも当時はまだすごい偉大な教えを説く人ではなかったけれど、柴田さんとは共に成長した、という感じです。
Q:柴田さんに頼もう、と思ったきっかけは?
A:スモールサンでお会いした縁もありますが、いい感触があったのは、柴田さんと僕が最初に未来の数字を作った時です。面白い、いい数字で、この人とやるといい感覚が持てるという印象があった。だから柴田さんと一緒にやろうと。こういう風にやると儲かる会社になるな、という感触がありました。
Q:それで管理会計すすめられて、状況が当初と比べて変わったとか、アップしたとか、ありますか?
A:今はコロナのことで赤字を出していますが、柴田さんがいらっしゃる前と後では、売り上げでいうと33%アップ、利益は40%増えました。
Q:それは管理会計導入されたことがきっかけ?
A:そうです。わからないことがわかるようになったのが大きいです。原価も知らなかったので。
原価がわかって粗利がわかると、複雑な原価計算しなければいけない。機械の減価償却や人件費、光熱費はいくらで、それが商品の何パーセントにのってるというのを作るたびに把握したくて、最初は柴田さんも理解して一緒にやろうとしました。しかし、複雑すぎていつまでもできない。
柴田さんの教えはもっとざっくりしていました。物が売れれば仕入れ、つまり原価が増えていく。それ以外は全部固定費だと。本当はもっと緻密な原価を出したかったけど、教えていただいたようにもっとざっくりした原価を出すようにしたら、段々わかってきて精度があがってきました。最初から細かく把握しようとしたから常に挫折していたんです。そこから徐々に細かくみるようにしていきました。少し時間がかかったけど、モノづくりが利益を生む意味合いがわかってきました。
Q:今ではかなり精度が上がってきて、細かく原価や儲けが把握できるようになったと。
A:そうですね。
Q:それがあると安心感がある、ということですね。
A:そうです。他に教わったのは何をやめるか、どの商品をやめるか、ということです。どんどん増やしていく一方だったんですが、そのうちの上位何割が80%売り上げ利益をつくっていますよね、ということを教わりました。
安くたくさん作ってるものは儲かっていない気がしてやめようと思ってたんですが、管理会計で数字を追ってみると、その商品のおかげで工場が成り立ってたり、感覚とは違う面もありました。
Q:30%、40%あがったというのは、導入されてどれくらいかかった?
A:1年目くらいで雰囲気がでてきて2年目くらいではそういう数字になってきました。
柴田さんはうちに週一回きていて、世間話で帰る日もありました。柴田さんのいいところは、うちの困ってることが本質的に何なのかを見通す力量があったこと。会計だけじゃなくて、例えば会社の中がなかなかまとまらないのはどこに原因があるかっていうのも教わりました。
うちは義理の兄が専務をやっていて、意見が食い違うことがあると専務に決定事項を言わずに直接社員に伝えたりしていました。社員からしたら社長と専務が別のことを言うので信用がなくなるというか、どういう会社なんだってなる。つまり、同族の企業って家族のコミュニケーションがあるようでない。言わなくてもわかるだろう、というところがあります。そこが弱点になっていました。そういうことも、柴田さんにミーティングの席にはいってもらって、ぶつからずにお互い理解する、みたいな行司の役目をしてもらったりしました。
Q:経営相談みたいな関わりですね。
A:そうなりましたね。教わることがなくてもずっと来てもらってるってのは、いろんな相談ができたから。柴田さんも勉強しないと僕の相談に答えられないし、いろいろ経験も積まれたんじゃないかと思います。
Q:柴田さんは、どういう存在ですか?
A:先生だけど友人ですよね。友人だけど、頼りになる、経営相談ができる友人。
Q:従業員は?
A:社員数が13、アルバイトが30ぐらいです。
Q:柴田さんに向いてるのはどういう方だと思いますか?
A:ぼくのきっかけは、数字のこと。会社を経営するために知っておくべき数字は会社によって違っていて、そこをみることができるのが柴田さんです。だから「どんぶりでやってて利益がでてない会社」に向いてます。
Q:御社がもともと良くない状況だったから、スモールサンにいかれたのもそれがきっかけ?
A:誘われていきました。何かそこにあると思って。どんぶりで儲かってたら気にならなかったと思います。
原価も分からないで今までの流れだけでやってると、どういう方向に進んでるのか分からなくなってくる。夢みたいなビジョンのもう少し手前で必要なのは、何人で何億ぐらいの商売をしていくというビジョンです。何人で何億のこのくらいの会社をやる、こういうことをやる会社をやりたい、そのほかのビジョンはこう、という数字を入れたビジョンが必要だと思います。
Q:当時はそういうものをお持ちじゃなかった?
A:そう、税金払いたいとか倒産したくない、とかそういう気持ちが強かったです。
Q:この先どうしたい、というのはでてきてますか?
A:会計とは関係ないけども、何かをやろうとしたときに、どのくらいやったらどのくらい利益が出るかって考えないといけないと思っています。これぐらい売ってもこれしか儲からないんだ、でも未来のために必要だよな、とか。利益は他で取らないとな、とか。力の入れ具合がざっくりでいいから根拠をもって取り組めるようにしていきたいです。
Q:すばらしいですね。
A:柴田さん自身は経営者ではなく一人でやっていらっしゃいますが、センスがいいですね。経営者の心が分かる、というか。
Q:若いころに上場支援をたくさんされてるから。
A:無駄じゃないですね、もちろん。上場支援のような世界を経験してるのはいいことなのかもしれない。
Q:指針セミナーとか東京ありますよね。愛知だと有志が主催している理念作成の道場編というのがあります。理念を作ったりビジョン作たり。ただ計画づくりはサポートしていないので、今後何をやっていけば儲かるのか、というところまではなかなか…
A:それは必要ですね。こういうことにいい感覚を持ってやろうとしてるけどいいのか、とか。ざっくりでいいから「いけそうだな」とか、「そうでもないけど必要だからやろう」とかそういうのは必要だと思います。
会社を支えている屋台骨は何かが分かるといいと思います。実は安売り商品が、単品的に粗利稼いでいないけど量が出るからマージン大きいとか、今まで気づいてないことも見えて本質が分かってくる。メーカーってほんとは素朴な安いものにこそ力をいれるべきだったよね、とかそういうことがわかってくる。そこを手を抜いて儲かるほうだけを手厚くやっててもだめなんだと。そういう安いお菓子を買ってくれる人がたくさんいて、そういう人がこの会社の評価をしてくださる。それで、人にあげるときは高いの買ってくれたりしている。そういうことが分からず「こんな商品手を抜いてもいいよ」っていうのがありました。
安いものにそこまで手をかけられないよねっていうのもあると思います。しかし仕組みとして、うちでいえば安い商品も研究して、類似商品でもよそより何か一味違う、おいしくする、ということが必要です。安いものでもその会社なりに手抜きをしないやり方を考える。そういうことをやっていると、いろんな広がりに繋がることが会計から分かりました。
Q:自分は、安く受けちゃってもこだわりがあって工数かけすぎたりとか、結果が伴ってないとか、社員から指摘されたり。
A:社長がやりすぎっていうのはいいような気がしますが、同じ値段のものでも他所より高いクオリティーにするノウハウや仕組みが必要だと思います。
Q:それが管理会計で発見できるってのが意外でした。
A:ビジネスの本質は同じです。安い仕事でも、自分の商品の値段は自分で決めろとか、うちは高く売ってていい会社ですというのはあると思いますが、そればかりじゃない。それだけでは会社が成り立ちません。
大切なのは、いい会社でも基本球になるような安い商品があったり、すそ野を広げてるものがあったりするということ。いいことをやってるいい会社は、その会社にとっての「基本球」がある。本に出るような会社はみんないい会社だけど、必ず常に儲かってるルーティンのような仕事があって、そういうところに力をいれていかなくてはいけないんだな、というのが分かってきたんです。
「日本で一番大切にしたい会社大賞」の審査員の方と話したことがあるんですが、「どの会社もオモテに出てるいい話だけじゃなくて、基本球になる仕事があるからいい会社になるんですよ」とおっしゃっていました。
今、僕は卸しだけじゃなく、直売場やSNSなどのネットを駆使してお客さんとのつながりを持とうとしています。売り上げが上がらない新商品が試作を繰り返していい商品になって…というところをドラマ仕立てて撮って、会員に知らせていこうという話が出ています。